Hosumi's Lifelog

四十路おじさんがネットの海辺でぶつぶつ独り言をつぶやいているよ。

2015BRM523 京都600km、完走!

要約するなら、400kmと600kmの間には肉体ダメージの壁がある、みたいな感じだろうか。

 事前の天気予報で高い降水確率が発表されていたので、諦めて雨天用タイヤに換装したり、フェンダーを装備したりしていた。
スタート時刻が05:00でブリーフィング等のため30分前到着を想定して、移動と身支度とでそれぞれ1時間を遡ると、02:30起床になることがわかっていたので前夜は21時ぐらいにベッドに入ったが、あれこれ考え事が止まらず日付が変わっても寝付けなかった。結局は、眠れたのか眠れなかったのか自分でもよくわからない状態ながら、02:30のアラームでベッドを抜け出して身支度を済ませ、バナナを一本食べてからスタート地点へと移動。

スタート地点には、体調不良でDNSを決めた同僚が見送りに来てくれてたりした。先日のBRM404終盤でたまたま同行して同僚氏の鬼のような引きずり回しをいっしょに味わったあの参加者さんに再開できたりもした。他には、主催の今野さんがブルベカードを自宅に忘れてきて、今日のブルベどうしようみたいな話をしてたのが愉快だった。(結局ブルベカードはスタート5分前ぐらいに届けられた)

そんな感じで車検を受けて出走。枚方あたりでキューシートを見落として歩道にあがるタイミングを逃してしまったりして、ちょっとだけ焦る。これはいかん、睡眠不足で判断力や注意力が落ちているのかも。ミスの回避や疲労をセーブするために適当な速度のグループにくっつきたいななんてセコいことを考え、視界に入ったグループの後尾にくっついてみた。走ってると心拍数が150台なかばに上がっていて、しばらくそのままくっついていたものの、「いいペースで走れてるけど、これ足もスタミナも削られるやつや」と考え直し、結局ちぎれてマイペースで走ることにした。そう、2015BRM404京都400kmの教訓から、今回はオーバーペースも怠けすぎも禁物、ストイックにマイペースで走り続けようと思っていたのだった。

休憩するのはPCに設定されたコンビニを原則として、補給も次のPC・チェックポイントまでの距離を計算し途中で補給しないで済むよう計画し、PCで買うものも到着前20分ぐらいのうちに走りながら決めておくなど、できる限り合理的に走った。
PC2のローソン豊岡神鍋高原店に到着したのは昼過ぎ、新調したばかりのシューズがパーフェクトにフィットしていないのか足先が少し痛んだのと疲労感があり、イートインコーナーもあったのでここで30分ほどの小休憩。昼食にミートスパゲティなどを食べ、ドリンクなどの補給を済ませ、晴天で気温も上がっていたので日焼け止めを塗りなおしガリガリ君をかじってから走行再開。

いつもなら一緒に走ってくれる同僚がいるので、退屈しのぎの会話をしたり、ペースやルートなんかを相談したりできていたが、今回は一人で黙考しながら淡々と走り続ける。
近所を通る国道9号線鳥取まで続いていることに感心したり、自分や家族のことを自問したり、カロリー計算なんかをしながら走り続けるうちに日本海や松林が見えてくる。夕方にPC3の鳥取砂丘に到着し、砂の美術館売店で家族のみやげにラッキョウを買った。次のPCまでの距離を考えると三時間近く走り続ける必要があり、休憩なしでPCまでたどり着きたかったので梨シェイクと梨ソフトクリームを売店で買って食べた。ちなみに後者の方が梨の食感やフレーバーがあっておいしかった。

オレンジ色の夕日が差す日本海の景色に見入ったりしながら走り続けるうちに日が傾き始めたのでライトを点灯し、夜走モードに。走りながら、PC4 にイートインコーナーがあればそこで小休憩を、無ければ別の場所で休もうと考えながら走る。駐車場の地べたに座り込むのは第三者からの見た目が良くないし、回復効率も悪いから同じ時間休むなら椅子の上で休もうと決めていた。
果たして、PC4のローソン北栄町由良店にイートインコーナーは無く、ドリンクの補給のみで休憩ポイントを探しながら走り続けることに。自分のコンディションやこれからのコースを考えると、カロリーの他にも汗で失ったナトリウムをはじめとするミネラルと筋疲労の回復を促すたんぱく質を摂った方がいいなと考え親子丼が食べたいなと思ったので、なにかそういったものが食べられそうな店を探す。
消化による血行や血糖値の変化を考えると大山の登りに入る30分以上前には食事をしておきたかったが、ラーメン屋や中華料理屋ぐらいしか見当たらず少し焦り始める。やばいなーと思ったぐらいのタイミングでジョイフルがあったので「まぁいいか」と駆け込んで食事休憩にする。お目当ての親子丼は無かったが、カツとじ定食があったのでそれをオーダーしてからあれこれ雑用をこなす。
事前の予想通り、このころには眼精疲労で目が真っ赤に充血していたのでコンタクトレンズを外してメガネにチェンジ。次のチェックポイントである郵便局ポストに投函するはがきに切手を貼っておこう、と走行中に考えていたのだが、駐車場でバイクにロックをしているうちにそれが頭から抜け落ちていて、あとでちょっとした問題となるのだが、その時の自分はそんなことを知るはずもない。キューシートを差し替えてこれから先の時間配分の計算などをする。そんなことをしていても、料理がなかなか出てこない。それも当然、土曜20時前後のファミレスとなれば混雑ピークタイム。ちょっと失敗したなーとか考えながらツイートしたり足をマッサージしたりしていた。5分以上かかってカツとじ+大盛りごはんが来たのでぱくぱく食べる。ご飯は水が少な目だったのか固めでちょっと芯があったが、あっというまに間食。

飲み残したお冷の氷をボトルに突っ込んで走行再開。本当ならもう数十分はやい時間帯に食事を済ませておきたかったがどうしようもならないので、食事直後の重たい腹で大山を目指す。実は事前に同僚との打ち合わせの中で、もうちょっとPC4寄りの地点にある蕎麦屋に見当をつけていたのだけども、その店名や所在地などの情報をメール送信しておくのを忘れていたのだった。ジョイフルから大山までは20分ほどあったので、食後の運動で脇腹が痛くなったりすることが無かったのは幸いだった。
そうして突入した大山だが、惰性や太腿の自重だけで登りきれない斜度の坂が延々と続いていて、心底しんどかった。食後の眠気と倦怠感とそれまで300kmオーバーを走ってきた疲労感とが充満した体には吐き気がしそうな登りの連続。途中、バイクを降りて押してあるく他の参加者をパスし、「あぁつらいのは私だけじゃないんだ」と気合を入れて登り続ける。高原の風景は真っ暗で何も見えないけれども、空はうっすら霧と雲にかすんだ様子ながら、京都市内とは比べ物にならないほどの星の多さで、「いつか子供たちにも満点の星空をみせてやりたいなー」とか考えながら黙々とバイクを走らせる。牧場があるのか、山の中は堆肥臭がただよう場所も多くてちょっとげんなりしたりも。
眠気と疲労の中キューシートを確認し、「(ハガキに)時刻記入、切手、ブルベカードに時刻……時刻記入、切手、ブルベカードに時刻……」と呪文のように唱えながら走り続け、そんなこんなで日付が変わるまで23時目前どうにかチェックポイントである大山寺郵便局前に到着。
「時刻記入、切手、ブルベカードに時刻……時刻記入、切手、ブルベカードに時刻……」とぶつぶつ呟きながら降車。
「時刻記入、切手、ブルベカードに時刻……時刻記入、切手、ブルベカードに時刻……」とぶつぶつ呟きながらハガキ,切手,ブルベカードを取り出してポストの前に。
ハガキに到着時刻を記入した。
その流れでブルベカードにも時刻を記入しようと考える。
右手に持ったハガキが邪魔。
ポストに投函。
左手に持ってたブルベカードに時刻を記入しようとする。
左手に持っていたブルベカードと切手に気付く。
「うあぁぁぁぁぁ……!!」と声をあげてポスト前に崩れ落ちた。切手を貼るの忘れてるじゃねーかよ!もしこのままハガキが配達されなかったらこれまでの苦労が無駄になる、と思うと一気に脱力したが、ドリンクを一口含んで落ち着いて考えた結果、駄目元で事情を書いたメモ書きと切手をポストに投函しておこうと思った。
適当な紙の切れ端に「大事なハガキに切手を貼り忘れたことに投函後に気付きました。ポストに52円切手を入れておきますので配達してください。エントリーN番 わたくし 宛先 今野様 みたいな内容のハガキです」というメモを書いて52円切手と一緒に祈りながらポストにin。あとはなるようにしかならないよね。
そんな感じでポストの前でおろおろと10分近くロスしてから走行再開。そこから先は登りもあるものの下りも増え始め、ちょろちょろと他の参加者を抜きはじめる。他の参加者さんは照明不足なのか下り速度を抑え気味だったが、私は光量にものいわせて普通に下る。そういう場面で、明るいヘッドライトの優勢を強く感じた。(私が装備してたのは Black Diamond の Storm)

午前1時すぎにPC5の道の駅蒜山高原に到着。疲労と眠気で頭の働きがだいぶ鈍くなっていた。バイクを降りてサインをもらう間にへたりこんでしまったが、周囲の植木の根元や芝生の上に寝転がってる他の参加者に気付いて慌ててバイクのライト消灯する。チェックポイントには今野さんがおられて、サインをもらいながらポストでの失態を話すと、「料金不足扱いでもだいたいは宛先にとどきますよ」と言われてほんの少し安心する。補給食も用意していただいており、味噌ラーメンをありがたく頂戴した。暖かい食べ物は疲れた体におちつきをもたらしてくれた。
ドロップバッグを受け取ってから、休憩ポイントを探し回ると、喫煙所のベンチが空いていたのでそこで体を休めることにした。それまで着ていた半袖ジャージとアームカバーを脱ぎ長袖ジャージに着替えて歯磨きと洗顔をした。睡眠不足で起床後に歯磨きを忘れていた上に一日中糖質を口に入れ続けたせいで歯のプラークがひどいことになっており一日中気になっていたが、歯をさっぱりできてようやっと落ち着いた感じ。寝袋に入って1時間半ほど仮眠をとる。夜通しホトトギスが鳴き続けており気になったものの、気が付いたら眠りに落ちていた。

2時半ごろのアラームで目を覚ましたが、眠気が強くてそのまま行動を起こせずにいたが、他の参加者が出発する物音を聞いてようやっと重い腰を上げる。食欲はそんなになかったが、ドロップバッグからランチパックと缶コーヒーを出して無理やりねじ込む。
ドロップバッグからレインウェアを出すかそのまま返すか思案するため天気予報を確認しようと思ったが、電波の入りが悪いのかiPhoneの応答が悪く、しびれを切らして「どうせ雨だろう」と考え、その時間帯の気温は一桁台で防寒具代わりにもなるだろうとそのまま着ていくことにした。Volt300のバッテリを交換し不用品を戻してからドロップバッグを再度今野さんに預けて3時過ぎに走行を再開する。

走行再開後しばらくは気温の低い下り基調でレインウェアフル装備で丁度良いぐらいだったが、下りがおわったころには空も白みはじめ雲もそんなに見えない感ず暑苦しさを感じたのでレインウェアを脱ぐことにした。少し肌寒い気温であったが、登り始めると丁度良いぐらいの感じだった。しばらくいくと峠道になり、下りで他の参加者の背中が見えたと思ったらまた登りで遠ざかるということを繰り返す。
途中、バイクが平地でも全然進まなくなり、前からゴリゴリしてたフリーボディのベアリングがついに死んだのかと思ったりしていたのだが、実は疲労で道路状況を読み取り違えていて、そこは実は平地ではなく登りだったりしたのだが、その時点でそんなことにはまったく気づかず、必至でペダルを踏む足に力を込めて無駄に消耗したりしていた。そんな走りっぷりだったのでチェックポイントのセブンイレブン苫田鏡野町店についた時点ですでに結構足を消耗している有様。

ドリンクと補給食を仕入れて淡々と先を目指すが、このあたりからどんどん日差しが強くなり始め、当初の雨予報はなんだったんだとうらめしくなってくる。ウェット用タイヤにフェンダーにレインウェアにと、こっちはフル装備で挑んでるというのに……。山を抜けて平地に入ったかと思っていたのも束の間、そこからの道は2~30mほどのアップダウンが無駄に繰り返される道路が続き、そこでもどんどん体力を削られていく。シューズによる足先の痛みと右膝の痛みも出始めて、「これ完走できないんじゃないのか?」という不安が高まってくる。
PC6 道の駅ひらふくにどうにかたどり着き、ベンチでおにぎりとソフトクリームを食べながらシューズを脱いで日焼け止めを塗りなおしたりメガネをコンタクトレンズに変えたりジャージを長袖から半袖に着替えたりしていたが、気付いたら右ひざの痛みはほぼ治まっており、携帯していた鎮痛剤の世話にならずに済んだ。

10時ごろにPC6を出るが、次のPCへの到着までの走行時間を概算すると5時間以上はあり、どう考えても休憩なしでは走りきれないと考えたのでイートインのあるコンビニを探しながら走る。
正午過ぎにイートインのあるコンビニに通りかかったので足を止めたが、それまで食べつつ付けていた補給食が消化器にもたれかかっていて全然食欲が出ない。食べ物を口にすることを考えるとのどの奥から血の味が登ってくる。やばい、カロリーだけで補給食を選んだから消化しきれてないかもしれない。それでも、何か口にしなければハンガーノックを起こすのは確実だったので、胃腸への負担が少なくハイカロリーなものを探す。
結果、ドリンクヨーグルトとソフトクリームとエナジーゼリーをどうにか胃に収める。足取りは割と回復していて、前日や道の駅ひらふくでも感じていたが、ソフトクリームは補給食としての即効性がプリン並に高いことを確信した。

強い日差しの中を走り続け、昼下がりにローソン加東森店に到着。
グローブを外すと手首近くのてのひらが真っ赤になっていて、手にだいぶダメージが蓄積している様子だった。坐骨とサドルが接するあたりも、皮膚が軽くめくれてる感じだった。ビブタイツでの股ずれ初体験。これまでなかった身体トラブルに、600kmはより体をいたわった乗り方(具体的にはサドル荷重とハンドル荷重の軽減?)をする必要があるそうだ、と気付きはじめる。
残りの距離から必要なカロリーを計算、少しは胃腸が使えそうな雰囲気だったので、蕎麦とカップアイスを食べ、日焼け止めを塗りなおして気合を入れる。

そうして完走が見えてきた。
サイコンのラップ距離をリセットするたびにキューシートの終わりが少しずつ近づいてくる。看板に見慣れた地名も増え始める。夕方になって日が暮れ始めたころに京都に帰ってきた。
久御山町立総合体育館まであと少し、というところでキューシートを読み間違えた。直進すべきポイントで左折してしまい、本来とは違う道でR1をアンダーパスしてしまった。しばらく走ってから何かおかしいと感じる。来た道を引き返してキューシートを確認、ルートを間違えたことに気付いた。そんなミスルートで20分ほどロスしたりしながら、20時前にゴールに到着した。
ゴール受付でシューズを脱いで休憩しながらふるまわれたコーラとピザを食べて自走で帰宅するだけの気力をチャージし、今野さんや他の参加者さんに挨拶をしてから家を目指す。
あぁ、手のひらが痛い、足先が痛い、尻が痛い。割と満身創痍。空腹感があるものの、食事することを考えるとのどの奥に血の味がこみあげてくるので素直に帰宅。レトルトのお粥を食べてシャワーを浴びてベッドに向かったらあっというまに深い眠りに落ちていた。

今回、最低限の計画的な休憩のみでストイックに走り続ける、という目標は、リザルトからも常に適度な貯金を持ち続けていることがわかり、非常にうまくできたと思う。やっぱりブルベはこのスタイルで走るのが王道なんだろう。
装備も、雨天,負傷,メカトラ,ナイトランと幅広い状況を想定した用意のおかげで過不足を感じることもなく、このあたりもこなれてきたんじゃないかと思っている。
反面、手のひらは真っ赤に腫れ上がってその後も数日間しびれが残ったし、股ずれのおかげで風呂や後日自転車に乗るときに痛い思いをしたりして、肉体ダメージがうまくセーブできなかったという反省がある。
どうやら、わたしのこれまでの乗り方では400kmを超えたぐらいでダメージの蓄積が許容できないリミットを超すらしい。どのようにとはうまく言語化できないけど、ダメージを抑制する乗り方がうすぼんやりと見えてきた気がするので、ぜひともそれを習得したい。

あと、スタート時刻が速いときは前夜の早寝は当然ながら、その数日前から生活リズムを微調整しといたほうがいいなと思った。三日前ぐらいから30分ずつ就寝時刻を早めていくとよいかもしれない。

200, 400, 600km と認定を取れてしまったので、こうなるとSRを目指したくなる。家の予定が許すなら、300kmにリベンジしてみますか……!