『悪の経典』

見終えてから随分と時間が経ってしまったけれども、記憶が風化しないうちに感想をメモっておく。
これを観に行ったのは1月1日、恋人が子供を連れて里帰りするということで不意に時間が浮いたので劇場まで足を運びましたが……正月に観る映画じゃあないよね……。

高校の英語教師である蓮実は、爽やかな風貌と親しみやすい性格から生徒の人気や同僚からの信頼も大きく、集団カンニングやモンスターペアレント対応など日々精力的に活躍していた。
劣等感の強い物理教師の釣井は蓮実の過去を探る中、蓮実が以前に勤務していた学校では彼の在職中に集団自殺事件が発生していたことを知る。
生徒からも同僚からも親しまれ信頼される教師が、実は他人への共感能力を持たない生まれながらのサイコパスであり、彼は自らの利益や目的のためにどんな手段も厭わない。

そんな感じの作品。
問題児を排除し、自分のことを嗅ぎまわる同僚を殺し、生徒と恋人関係にある同僚を恐喝しながらも生徒や同僚からの信頼を厚くして、学校中を手中に収めたかに見えたタイミングで綻びが生じ、それが取り繕えない段階になったとき、彼は周囲のすべてを犠牲にしてでも保身を図る。
どっぷりと入り込んで見入ったけれども、高校生役のちょっと固い演技で「なんだかなー」と現実に引き戻される場面が何度か。
伊藤英明の英語の発音は私には聞き取りにくかったけれども、英語ネイティブからするとどうなんだろうねって気になったりもした。
序盤の職員会議の場面で同僚役として貴志祐介が出演しており、不意の出来事で思わず吹きだしてしまったけれど、他の人は無反応に見えて「あれー」って思わされたり。
ストーリー自体はちょっと荒さも感じるけど、『黒い家』系列の貴志祐介の現代ホラー作品らしさは感じられて、個人的にはまぁ悪くない映画だったと思う。

この『悪の経典』や、アニメ版(とコミック版)『新世界より』の影響で貴志祐介のファンが増えて、『クリムゾンの迷宮』が映像化されたらいいのになぁと夢想しながらこのエントリを締めくくり。